入り口を支える濃いベージュの大きな柱から少し離れた外側に、展覧会の案内が貼られた大きなピンク・ベージュのパネルがそびえている。その奥には外壁と同じグレーの柱で仕切られる左右に長いピロティーが通る。

横浜美術館が再開した。最初の展覧会は、神奈川県内の美術館・博物館からの作品を含めて横浜を辿りつつ、最後に所蔵品を蔵出しするもののようだ。会員登録なしで買えるオンライン・チケットでうれしい。

横浜を辿る展示は種々雑多で面白い。横浜をそういった観点で見たことがないので新鮮だ。江戸末期からの流れは教科書的でつまらない所もあるが、「ミナトのマリー」や「聖母愛児園」の写真ではつい足を止めてしまう。そこから先は美術館の所蔵品になり、常設展を見る楽しさだ。フランシス・ベーコンにもまた会えた。いくつか持っているはずのマティスはなかったが、モデルと一緒に写っている写真があって楽しい気分にはなれた。「再開して良かった」という気分を味わえる展覧会だ。また来たい気分になれたし、横浜美術館が好きなことを再確認できた。

ガラス張りの天井から吹き抜けへから光が降り注ぐ。2階へつながる広い階段には様々な展示物と、本棚、座るためのクッション、車いすで上る体験をするためのスロープなどが設置されている。中央の受付には続々と人が集まってきているようだ。
グランド・ギャラリー

建物の方は、入り口に入った途端、綺麗になったことを感じる。前は吹き抜けのところがもっと暗かった。壁もきれいになっていたりするが、そこかしこにある時計は前のままだったように思う。特徴的な円形の部屋も、新規所蔵品にうまく使われており、別の時にどうなるか楽しみだ。左右にある階段での展示も見やすい。展覧会の構成の都合上、自由に行き来というわけにはいかないあたりは残念だ。展覧会にも設計案が出ていたが、やはり正面入り口から海まで抜ける道を作って欲しかったと強く思う。そんなこんなで裏口側を見ることを忘れてしまった。


新公式ウェブサイトも良くできている。ユーザー層を考えると、文字が大きいだけで評価できる。サイト・メニューのラベルを日本語の動詞にしたことも英断だと思う。開館スケジュールと地図への導線がメニューに隠れていないところも優れている(アイコンのみな点は賛否が分かれそうだ)。最近はあることも多い「本日開館」のお知らせも忘れていない。気になったことは、メガ・メニューの背景色だ。本文との境目がわかりにくいので、テーマ・カラーのピンクにしても良かったように思う。あとルートのFaviconを消していないのでたまにWordPressの既定アイコンが見える。