緩やかな登りの車道が続く中、少し開けた場所から、見渡す限りの田んぼが一望できる。田植えも終わった頃のようで、やや青いくらいの淡い田園風景だ。遠景には数多くの山々が並ぶが、あまり高くは感じられない。

無言館を目指して上田まで行く日は、朝からすっきりしない天気だ。山がちなところへ行くので不安だが、涼しいと好意的に解釈したい。そこそこ早い新幹線なので、早起きし、早く家を出る。

乗車予定の北陸新幹線は、2人席の窓側は1週間前に空きがなく、3人席の窓側もそこそこ埋まっている。あさまとはくたかでも違うようだが、なかなか盛況だ。3人席の通路側が埋まらないと良いな。

横浜駅から東京駅に出て乗る。新宿駅から大宮駅に出た方が安く速いようだが、楽そうなので横浜周りにする。Appleマップの経路検索だと、新横浜駅から東京駅まで東海道新幹線に乗るようになどと指示され、まるで使えない。様々な駅に行きやすくなることも善し悪しだ。東海道線が急停車するものの、予定通り東京駅に辿り着く。

チケット・レスで新幹線に乗るのは初めてだ。まったくわからないが、北陸新幹線の場合はえきねっとでSuicaと関連付ければ良いらしい。こういった確信が持てない仕組みは苦手で、乗るまではおろか、乗っても不安でたまらない。せめてモバイルSuicaには連携して欲しい。うまく入れるか、乗って車掌に怒られないかドキドキする。

そのため余裕を持って行き、グランスタも見ずに新幹線のホームに入る。上越新幹線や東北新幹線とホームが共通なので、それらとそれらの支線の色々な車両を見れて面白い。

発車すると、指定席は満席との車内放送が流れる。早めなので軽井沢駅ではなく、長野や金沢に向かう人たちらしい。車内Wi-FiはJR-WESTのものだった。通りでJR-EASTにうまく繋がらず、切れまくるわけだ。Wi-Fiに無事繋がったところで、帰りの新幹線も予約しておく。キャンセルがあったのか、2人席が空いている。


ダイヤ改正により上田駅で電車の接続が良くなったようだ。上田駅に停まる北陸新幹線に合わせて、ローカル線とシャトル・バスが運行している。シャトル・バスは2時間に1本、昼間の新幹線は1時間に1本、両者が30分ずれて接続する形だ。余裕があると言えるが、上田でご飯を食べるほどの余裕はない。20分でご飯を食べるか、上田で1時間以上ブラブラするか、だ。突然行くことに決めたため、城とそば以外にやることが見つからないので、行きも帰りも上田は通るだけにする。

上田駅にはあまり人はいない。上田電鉄別所線で切符を買おうとすると、「乗りますか?」と駅員に聞かれる。乗るなら発車を遅らせてくれるようだ。都会にはないサービスだが、次でも大丈夫なので断る。切符がQRコードで初体験だ。反応が鈍く、といっても3秒くらいだが、都会では無理だろうなという仕組みだ。

下之郷駅では既にシャトルバスが待っていてくれる。何もなくてもセブンイレブンはある。10分くらいゆっくりと登っていき、最後にググっと山に突入する感じだ。ここまで来るとさすがに山に来たという感じがする。


無言館からは予定通り一気に東京駅に帰る。上田駅構内は六文銭だらけだ。駅の外壁にもそれっぽい意匠が施されている。新幹線内で食べるおやきだけ買う。乗ったあさまは、上田駅ではガラガラだったが、軽井沢駅で一気に満席近くになる。停車駅は多いものの、15時過ぎには東京駅に着き、まだまだ明るい。まずはカルダモン・ロールを買いに行き、無事手に入れる。帰ったらコーヒーを淹れて食べよう。

新丸ビルのラグや陶器を売っている店を覗こうとしたら、先月末に閉店している。モノクロの飾り皿が多くあって、買おうかどうか迷っていたので残念だ。オンライン・ストアも売り切れが多く、在庫のみっぽい雰囲気だ。慎重に選んでいる時間はなさそうで、買う決断はできないと思われる。

昼ご飯をすっ飛ばした形なので、あまり他の店は見ずに目的のレストランへ向かう。沢村のレストランだ。常に人が並んでいる印象の新宿より格段に空いている。豚肩ロースの黒ビール煮込みにする。トロトロでほんのり苦みがあり、なかなか美味しい。量は少な目だが、外では腹6分目と決めているので気にしていない。ランチ・メニューに滑り込んだので、食べ放題のパンも食べられた。ワインを少し飲みたかったが、飲み物のメニューがない。


さすがに疲れてきたので、ご飯の後はまっすぐ帰る。帰宅ラッシュのギリギリ前くらいだったし、最速の電車がすんなり来たので、18時過ぎには帰宅できた。家を出たのが6時半くらいだったので、12時間弱の強行軍だ。金沢へ日帰りも出来ないことはなさそうという妙な自信を持ってしまう。鈴木大拙館に行きたい。