受付は建物入り口の左側にあり、小さな窓からやりとりできるようだ。受付の前には小さなポスターが掲示されている。建物の壁はコンクリートのようにも見えるが、白い漆喰を盛り上げた意匠で格子状に飾られており、退屈しない。

柳宗悦邸に行くついでに展覧会も見に行く。駒場の民藝館の住所を見ると、あの辺りが目黒区であることにいつも驚く。大まかに東大の敷地まで目黒区が入り込んでいて、松濤美術館になると渋谷区に、松陰中高になると世田谷区になる。地形的なものなのか、政治的なものなのか、気になりつつも調べていない。調べないまま不思議に思っていたい。

ポスターにも載っている白薩摩がいくつかある。木彫りの恵比寿像が可愛い。焙烙がかっこいい。などなど興味深いものは多いが、大部屋だけと規模が小さい。2階を全て使うくらいの規模で見たい。イマイチかななどと思いつつ、1階に降りると深澤直人がいる。

併設展ではヨーロッパの陶器が面白い。イタリアのとっくりに取っ手と注ぎ口がついた陶器がかっこいい。地は白で、上1/3くらいは斜めに緑で色が付いている。緑も何とも言えない色合いだ。五徳にトリベットと補足があり、実際には4本脚というものがあって、クスクスする。大量の鍵もある。鍵は人に見せるものでもないのに凝ったものが多く、どういう動機で発展したのか興味がある。

ショップでは小ぶりの茶碗を見かける。大きさと重さは良いが、外側に入った線の色が好みではなく、やめておく。本では1990年に行われたウィリアム・ブレイク展の図録が欲しかった。買おうとするも紙も製本も安っぽすぎて買う気になれない。安っぽいというと語弊があるが、絵と雰囲気が合わない質感の紙だ。


堂々とした庇の付く瓦屋根の立派な門構えの真ん中に入り口が見える。左右の窓にも庇が付くが、こちらは白く、白壁と馴染んでいる。腰下は本館と同じく漆喰で格子状に飾られているが、こちらは灰色だ。門と道路の間にはサツキが植えられており、ちょうど咲いている。
民藝館・西館

目的の柳宗悦邸である西館へ移動する。1階の柳兼子記念室ではゴルドベルグがBGMの映像が流されている。どの部屋も面白いが、入れない部屋も多く、不完全燃焼だ。スリッパだし、もうちょっと入りたい。壁とかに触られると困るからだろうか。書斎のレイアウトは参考になる。奥の窓に腰高の棚、その右に机、あとは本棚で、角を5角形の板棚で埋めている。扉の左右に本棚がある部屋には漠然とした憧れがある。