麻布台ヒルズへ散歩に行く。あんまり真面目に歩かずにパクパク食べていたら、なんやかんやで体重が1kg近く増えてしまう。都会は危険だ。

前に行った時は神谷町駅から直行したので、今度は六本木一丁目駅から向かってみる。最寄駅から座ったまま、ほぼ1本で行けるということもある。駅からは地図も見ずに大雑把に南南東に進むだけで着く。最後のビルはまだ基礎くらいのようだ。

麻布台ヒルズのフロアマップ南北がほぼ逆なので、少しややこしい。六本木一丁目駅側から行くと、ジャヌ東京の辺りに着く。まず12時前に昼ごはんにしようと、ジャヌ東京を右手に進み、中央広場を通ってタワープラザへ向かう。通りから入ると段差のある植栽と小川に迎えられる。

中央広場では新型クラウンのお披露目会みたいなものを行っている。洋服なども並べてあり、よくわからない空間だ。ごちゃごちゃしていたのは準備中だったのかもしれない。クラウンもレクサスのようにライフスタイル・ブランド化を目指しているのだろうか。

ニコライ・バーグマンのカフェでサワードウのサンドイッチがあるようで、値段もそこまで高くもない。しかし、持ち帰りが主眼にあるのか、店内の机と椅子が落ち着かなさそうだったのでやめておく。店舗の横にある巨大なプリザーブド・フラワーの壁飾りは、ピンクと、赤、白のものに更新されていた。少し暗い所にあるので、こちらの方が映えると感じる。

そのままタワープラザの店を眺めながら、昼ごはんの店を探す。四角い階層が少し重なってつながっているような構造で、行き止まりかと思うと奥があったりするみたいだ。ちょっと触ったリネンとシルクのジャケットがかっこよかったが、普段着として買える値段ではない。

各料理店は値段に物凄い開きがあるようだ。普通に8000円からそれ以上のランチなどがあったりする中、飲み物は別だが1950円でランチを提供している3階の店に落ち着く。安いような気がしたが、比較対象がおかしいだけかもしれない。

ピザ屋の隣の魚介類のイタリアンだ。前菜のカポナータとリコッタ・チーズが美味しい。白いシャツだったことをすっかり忘れて、白身魚とトマトソースのスパゲッティにしてしまったが、こちらも美味しい。先付として出てきたカンパーニュとフォカッチャが特に美味しい。砧に系列のパン屋があるようなので、世田谷美術館か世田谷文学館にでも行った際には是非寄りたい。


食後はスーパーの方へ向かう。タワープラザの地下まで降りると、スッと行けるようだ。スーパーには地元にもあった京都の青果店があり、しっかりした品揃えでうらやましい。前に行った時にはすごい行列だったパン屋は、今日はあまり客がいない。そのまま紅茶屋を冷やかしたりしながら散歩する。傾斜地にある関係で、地下の構内を歩いていても所々外光が入ってくる辺りは気持ち良い。

美術館棟に移る辺りで一旦外に出る。ヘザウィック・スタジオの外骨格に挟まれた通りはさすがに圧巻だ。そういえば各施設の内装も直線的なところが少なく、商業施設感が少なかったように思う。通りの出口は河津桜を見に来た人々で溢れている。神谷町駅の方へ降り、六本木へ向かう。麻布台ヒルズではトイレを観察することを忘れてしまった。次はトイレに行こう。


六本木ではパン屋を開拓する。首都高沿いから一本南の道沿いにある、フォカッチャが美味しいと聞いた店だ。ライ麦バゲットと、カンパーニュ、フォカッチャを買う。ポンパドウルくらいの価格帯で、場所の割には手頃な値段だ。バゲットは皮がガリガリで、かなり好みだ。カンパーニュはふんわり感が独特で、なかなか美味しい。フォカッチャはオリーブ・オイルが強すぎて、あまり好みではない。フランスの田舎菓子的なものも豊富だったので、今度はそれらも買いたい。

六本木交差点の方へ戻り、ミッドタウンへ向かう。探していた茶碗というか陶器のボウルが見つかる。色や形は理想的だったが、想像の5倍くらい重く、茶碗には難しい。そのまま上層階まで冷やかしながら進む。粉引で八角形のサンマ皿があって、ちょっと惹かれたが、粉引は好きではないことを思い出したのでやめる。

おやつの時間になり、ケーキを食べ、ジュースを飲む。しっとりしたベイクド・チーズ・ケーキはやや美味しいくらいだったが、添えられている蜂蜜が香り良くとても美味しい。やはりチーズにはワインより蜂蜜だと思う。ミッドタウンの中庭というか前庭というか、リッツ・カールトンの前辺りを見下ろしながらのおやつは、20度を超える気温だったこともあって爽快だ。

お腹もいっぱいになったので、六本木駅前まで戻り、渋谷駅までバスに乗る。ちょうど最寄り駅まで行く電車の時間だったため、どこにも寄らず帰り始める。朝の人身事故の影響はほとんど解消されていた。夕食は作っておいたカレーライスにし、買ってきたパンを肴にヱビスの緑ビールを飲む。まんまとカレーを食べすぎたので、体重の増加に止めが加わったようだ。


細かく書いていくと、ただの散歩でも書くことはあるものだ。商業施設は歩いて触れる無料のデザイン博物館みたいなものと思っているので、ビルド・アンド・スクラップの国に生まれて良かったような気がしないでもない。今月末に一部開業する高輪ゲートウェイシティにも行きたい。