恵比寿にアレック・ソスの展覧会を見に行く。何かの雑誌で見た時にメモしていた写真家だ。雑誌で見た写真は、背景を想像したくなるような、前後の気配が漂うものだった。
展示は6つほどの部屋に分かれて構成されている。部屋を感じさせる写真が、シリーズごとに部屋に分かれているということのようだ。「部屋」ということもあって、静かな写真が多く、一番気に入りそうなものを見せてもらえた気がする。人物がいない写真は、ハンマースホイにも通じる冷やかさがあって、ぞくぞくする。あっさりとした規模の展覧会で、タタっと見れるが、印象は弱く長く残りそうだ。
2部屋目の明るい紺のワーク・ジャケットを来たおじさんがかっこいい。椅子に座っているだけなのに。ひげを伸ばそうかなという気持ちになる。パンフレットにも載っている、子供のポートレート写真を壁に飾っている写真は、ちょっと怖く感じる。行方不明の子供たちを探す団体の事務所に見えてしまう。5部屋目のインコが窓際に留まっている写真が気に入る。外に出たそうに振り返っているところにグッと来たのかもしれない。
美術館は外も中も見るべきところはあまりない。写真なので、それもまた良いのかもしれない。館入り口手前の暗さは雰囲気が良く、展示室の明るさも気持ち良い。とてもうまく作った普通のハコモノという感想だ。ロゴは好きだが、外観での縦使いはいただけないと思う。せっかく「ドアをひらくようにも見え」るロゴなのに、縦使いだと上に開く扉になってしまう。
ミュージアム・ショップにアレック・ソスのポストカードがない。少し作って欲しかったと思うが、かなり人気があったようなので、もしかすると売り切れたのかもしれない。いずれにしろ残念だ。ショップの前にアルテックのChair 66とTable 90Aがいっぱいある。リノリウムの手触りが心地良い。これらをどこかで見るたびに、ワークチェアはChair 66にすれば良かったなと思ってしまう。