View Transitionについて紹介するWebKitの記事で、prefers-reduced-motionメディア特性で振り分けなくても良いという見解が示されている。「単純なクロスフェードは、動きに敏感な人たちへ負の影響を与えるとは知られていない」ことを根拠としており、納得感はある主張だ。WebKitでは元々そういう意図(の下、motionという名前)で先行実装したのかもしれない。

確かにクロスフェードは大きな位置の変更はなく、ふわっと消え、ふわっと現れるだけだ。また、既定である急激な切り替わりより、ユーザー体験は向上するだろう。記事でも触れられているようにアプリに似た操作感をもたらすという点でも、親和性が高そうだとは思える。

しかし、OS側のアニメーション設定を無効にする理由は、アクセシビリティーという観点で、つまり動きに敏感だから無効にするとは限らない。「ヌルヌル」よりも「キビキビ」を好むユーザーは無効にするだろう。振り分けない場合、そういうユーザーを無視することになる。ユーザーがわざわざOS側で設定しているという意思を尊重するという観点で振り分けるべきではないか。

仕様では「minimizes the amount of movement or animation」となっている。はっきりと「ムーブメント」と「アニメーション」が区別して書かれているので、ムーブメント、つまり動きに限らないという見解だろう。安全側に寄せた見解とも言える。