アイコン・フォントは便利ではあるので、ちょくちょく作ってはいる。けどどうしてもSVGにしたくなっちゃう……という好みの話。SVGの方が歴史がある(WOFFと比較して)とか、Adobeプロダクトがあるとか、そういう両者のフォーマットや環境における差異は時と流行りが解決することで、そういうのが理由ではない。僕がSVGよりなのはその「制御しやすさ」に尽きる。

SVGではDrawicを最初に公開した時のエントリーで触れたshape-renderingプロパティーなどを筆頭に、多様なプロパティーにより同じパスやシェイプにその形状に適した効果を与えることができる。それもテキスト・エディタで数十文字書きかえるだけで。つまり製作者の意図を簡単に反映させるための制御機構がSVGにはそれなりにあり、実際に機能しているということになる。

制御のしやすさというのは単に「○○できる!」とかそういう話ではなくて、「この画像はこれこれこういうものだから、この部分はこうしたい」などという意図を汲んでもらうことができるということだ。SVGでは丸に十字の記号を、丸の部分はなめらかにアンチエイリアスをかけて十字はピクセル等倍にシャープにするなどということもちょっとスタイルを書くだけで可能だったりする。画像なんだから当たり前と言えばその通りなんだけど、丸は緑で十字は赤などということもちゃんと制御できる。

今はまだその意図がブラウザーの実装不足によって伝わらないということはある。しかし、それによって画像がまったく意味をなさなくなるということはまずないし、そうならないように注意することも難しくない。制御は多種多様なプロパティーを介して行われるので、そのうちいくつかが無効になることをテストすることはとても簡単なはずだ。


逆に言うとそういった制御を捨て、ブラウザー側にすべてを委ねることにより安定した運用が行えているのがアイコン・フォントだという事になる。SVGはまだまだ安定しているとは言えないところもあるので、うまく両者を使い分けてより良いウェブサイトを作っていきたい。