ウェブデザインのトレンドとその背景

7 future web design trendsという記事を読んでいた。これらは既に(または元々)未来のトレンドじゃないという点を見なかったことにしても、構図を単純化しすぎなきらいがあり、トレンドっぽいものの紹介とその正当化という記事としか読めなかった。

スクロールが中心になったことは確かで、そのことに最適化して無限スクロールを採用する(元記事の1)のは間違っていない。ファーストビュー信仰が最初から間違っていたことも事実で、ヒーロー・イメージなどと呼ばれるフルスクリーンの画像や動画の採用(元記事の2)は妥当に思える。しかしこの両者を同じスクロールという行為に対するトレンドとまとめるのは雑すぎる。

前者はスクロールという行為そのものと回線速度に最適化しているものだ。無限スクロールの利点は単にスクロールのみでコンテンツを読み進めていくことができるだけではなく、効率的なコンテンツの読み込みをもたらすことができる。むしろモバイルというコンテキストで考えると、この回線速度における利点の方が重要だと言えるだろう。

後者はスクロールという行為を最優先させるユーザーに最適化したものだ。ウェブページを開くと人はスクロールするということを念頭に置くと、画面全体を支配する画像は特にデメリットにはならず、美しい包装紙のようにブランディングに良い影響を与えることができるだろう。しかしこのトレンドはモバイルに最適化されたものではない。なぜならばそういった画面全体を支配する画像はサイズが大きくなりがちで、回線速度に劣ることの多いモバイル環境では負担が大きくなりがちだからだ。

この筆者の言うところのトレンド自体はそれなりに受け入れられるし、既にトレンドになったと言って良いものだ。しかし、このようにモバイル対デスクトップという単純な構図に落としこむのは間違っている。少なくともウェブサイト制作に関わる人々はこういったトレンドの背景をもう少し掘り下げてみるべきだろう。