Being patient vs. being loudというAccessibility Winsの中の人の記事を読んだ。アクセシビリティーに欠けるウェブサイトにおいてその改善を求めるフィードバックが来ないのは、そういうウェブサイトは障害のある人にチャンスすら与えることが出来ないからであるからだろうと言う。そのため大前提としてアクセシビリティーに問題のないウェブサイトを作るべきだと読んだ。

人が自分の世界が恵まれていることに気付くことはまずない。逆に自分の世界が何か間違っていたり何か足りないことに気付くこともまた難しい。インターネットの普及によりそういったことに気づき知ることが出来る機会が増えた現在でもあまり状況に変化はない。知識自体を得ることができただけでは不十分だということだ。人間の想像力には限界があることが本質的な問題だろう。

まずは機能や振る舞いではなく、チャンスを平等に与えられるような作りにすること。そうすることで自身の想像力などという怪しげな根拠に基づいた対応に終始することなく、どういうところがおかしいのかをフィードバックとして得ることが可能になる。ことウェブにおいては、HTML5において充実したマークアップのセマンティクスというものがその作りの実現へ大いに役に立つことだろう。


アクセシビリティーについての仕様や記事がいまひとつ注目されない理由は、それら記事の書かれ方の問題というよりも、読者が限界のある想像力で読んでしまうからなのかもしれない。自分の想像力がまったく及びもつかない世界があるということを強く意識した上で読むことが重要だ。