一時期は全てのウェブサイトが中央寄せになるのではないかというくらいの勢いだったような気がするが、最近は左寄せが盛り返しているようだ。AwwwardsやHTTPSTERなどのジャンルレスのウェブデザイン・ギャラリーを見るとなんとなくそう思う。正確に言うとレイアウトは中央寄せしつつ、テキストは左寄せしているウェブサイトが増えている。
レイアウトの中央寄せは、最適な一行の文字数に限界があることを考えると採用せざるをえない。CSSでマルチカラム・レイアウトが簡単に提供できる様になれば少し変わる可能性はあるが、縦スクロールとマルチカラム・レイアウトの相性は良くない。実装方法は色々変化していくことだろうが、レイアウトの中央寄せ自体はこのまま継続して行われていきそうだ。
テキストの左寄せが盛り返しつつあるのは、ウェブ・フォントの流行と共にタイポグラフィーへの傾倒が進んだことによる結果だろうか。CSSの実装が追いついていない現状では、俗にflush left (またはragged right)と呼ばれるような右がガタガタになっている状態になるという特徴がある。しかしそれも以下のような理由でプラスに働く。
余白とコントラストをどう作るかをタイポグラフィーという比較的低いレイヤーで解決しようとしていると言えるだろう。
日本語のウェブサイトでこまめに改行を入れて文章を書くスタイルがいまだマジョリティーを保っている理由はいくつかありそうだが、そのひとつに文字の密度が下がることはある。欧文と比べて文字の密度そのものが高いため、文章単位で密度を下げようとすると、文字間や行間を空けるか、こまめに改行するかくらいしか対処する方法がない。これもまたタイポグラフィーというレイヤーでの工夫であるのかもしれない。
今ひとつ受け入れがたいスタイルだが、それなりに意味と効果があると感じるようになった。