リンクのクリックやタップをフックしてリンク先URLをすり替えることにより、ユーザーを追跡しようという試み他を行っているウェブサイトは多い。Googleの検索結果などもそうだ。ユーザー追跡の是非はともかく、よく出来ていないウェブサイトでは中クリックやロング・タップを考慮しておらず、ユーザーが期待する動作をしてくれないことがある。

わざと中クリックやロング・タップを殺しているのだろうか? 常に同じタブ(ウィンドウ)でページを開かせ、ユーザーのウェブサイトの平均滞在時間を長くみせることができるから? ブラウザーの「戻る」よりも、別に開いたタブを閉じる方が速いので、そうさせないことにより滞在時間を稼げる。それによりアクセス統計から見た場合にページの価値を高いものに見せかけることができるというわけだ。

悪意に解釈するとこうなる。実際にはそれほど悪意を持って殺しているわけではなく、単純にシングル・ページのアプリケーションとしてデザインした結果に過ぎないことの方が多いだろう。最近のウェブサイトはそういう傾向が強く、またiOSやAndroidでは積極的にタブを開くことが少ないこともあり、軽視されがちなように思う。

例えばonclickのような様々なインタラクティブなアクションにより発火するイベントに対してlocation.hrefによるページ遷移を割り当てているケースではうっかり殺してしまう実装になってしまうことになる。URLのすり替えやユーザー追跡の部分を別に切り分け、onclickを使ってそれを呼んだ上でページ遷移自体はブラウザーに任せるようにすると勢い余ることは少なくなる。Googleの検索結果ページはもっと複雑だが、おおまかにそのような実装になっている。


最近のアプリもどきのウェブサイトでは、デスクトップ・ブラウザーを始めメインターゲットに据えたデバイス以外が軽視されているように感じることが多い。最適化していると言えばそうなるとは思うが、ベースラインがしっかりとしていないので、プログレッシブ・エンハンスメントにはなっていない。もっと様々なデバイスの特性にフレキシブルに適応するような形でウェブサイトを作って欲しいなと強く感じる。