ミステリー・ディナー

表紙にグッときたのでミステリー・ディナーという小説を読んだ。表紙の感じとタイトルから推理小説と想像していたが、イエスを名乗る男とのディナーでの神についての会話の小説だった。とはいっても淡々と進むので、説教をイメージする退屈さはあまりない。短いのもあってサラッと読めた。表紙は安西水丸の作品だった。

内容はおじさんとおじさんがずっと語り合うだけだ。懺悔室の中を覗き見するとこういう感じなのかもしれない。真面目な話をされている時に些細なことが気になってしまうところがサラッと描写されていたり、雰囲気を楽しめる小説のようだった。原著をネイティブの人が読む方が面白そうな類いの小説なのかもしれない。


「ミステリー・ディナー」という日本語タイトルは微妙だ(原題は「The Dinner with a Perfect Stranger」となっている)。神秘的なという意味を込めての訳出のようだが、日本だとミステリーにはもっと違う印象を持たれるのではないだろうか。