19世紀初頭のヨーロッパを舞台にして始まるテメレア戦記の既刊を読み終えた。ナポレオンがヨーロッパを制覇しつつある時代の小説だが、主戦力が歩兵・砲兵、そしてドラゴン、という小説だ。一応は現実の歴史を追ってはいるが、ドラゴンですべてどうにかされる。史上では気球で試みられるナポレオンのブリテン島上陸作戦はドラゴンで行われ、2度目には成功しちゃったりする。大変だ。

この小説の地球にはドラゴンがそれなりに繁殖している。ほぼすべてのドラゴンが空を飛べ、一部は炎を吐いたり、腐蝕性の酸を吐けたりと、頭数以外では生物の頂点に位置するようだ。知能もかなり高く、独自の言語をもつものもいれば、英語やフランス語をあっさり喋ったりもする。こういった基本性能の高さの割にはおおむね人間に隷属していたり、よくわからない。

各巻が長いわりに展開はすごく遅い。メイン・シリーズをずっとナポレオンと戦ってるだけにしたら3巻くらいで終わりそうだ。ナポレオン戦争の終了で完結するらしい。Kindle版はおろか文庫本すらないので、買うのはためらうレベルの重さの本、という感想が一番大きい。


那波かおりの翻訳した小説を読む機会が多い。好きとか嫌いとかは特にない。