Digg ReaderとAOL Readerにはがっかりだ

Google Readerという巨人亡き後の権力の座が欲しいだけ……というとあまりにも攻撃的だけど、少なくとも両者共に未来を見ていないようなものだった。これからのRSSリーダーに必要な物は何なのかみたいなものを考えた形跡がまったく感じられない。Google Readerが描けなかった世界を見せてくれるというような期待を、特にDigg Readerの方に持っていたのでとてもがっかりした。

Feedlyと違ってスクラッチから作るわけだし、機能が足りないのは仕方ない。でもGoogle Readerに無い何かがあって初めて継続して提供されうるようなサービスになるはずで、単なるリプレースでは同じように終了するだけじゃないのか。このままじゃ変なクローラーが増えただけで何にもならない。もちろんこの時点で何か革命的な機能があるべきだみたいなことは考えていないけど、両者を使ってRSSを読み進めても何かワクワクする予兆みたいなものはまったく感じない。

これらが新しいスタートアップの作ったRSSリーダーというのなら話は変わってくるけど、DiggやAOLのような立派な会社の作ったフィード・リーダーとしてはあまりにも凡庸すぎる。もちろんこれから様々な機能がつくのだろうけど、その最初の一手としては失望の色を隠せない。

両者の将来性についてまで否定しようとは思わないが、現時点では既存のものを雑に焼き直しただけでこれといった魅力はない。技術的な対応にも多くの問題や至らなさが既に表面化している。クロール漏れとかはともかくとして、例えばクローラーのUA文字列で購読者数を通知するなどといったRSSの普及を支えてきた様々なサービスが作り上げてきたエコシステムを継承していないのは残念でならない。そういう所から僕には先行サービスへの尊敬やRSSの提供者への感謝がないように思えてしまう。


ひたすら読む形のGoogle Readerの終了によって、主にキュレーションやサジェスチョンの面でのRSSの活用が期待されているはずだ。両者ともにニュースの取り扱いには一家言あるはずなので、その経験をうまく活かした機能が加わるのは時間の問題なのだろうけど、後付けになるこれからの機能としてはそれだけでは弱い。例えばそれに適当に文章を要約してくれたりキーワードを抽出してくれる機能などハズレをさっくり流せるようになる何かが加わると楽しそう。

そういうのも未来のひとつだと思うのだけど、流し読みを加速させるビューの提供というのもまた未来のひとつ。Digg ReaderはTop Storiesのマルチカラム表示をビューの選択肢のひとつとして採用すると良さそう。AOL Readerはカードビューはあるので、コンテンツが1行くらいしか見えない高さだったり画像の表示がまちまちだったりカードの枠が強すぎて読みづらかったりするその雑な所を修正するとすぐ良くなるはず。スペースを押すだけでずっと読み続けられるようなナビゲーションを持っていたりもするが、カードビューでは読み終わったら記事のポップアップを閉じるように、リストビューではそのまま次々に読めるようにと挙動を変えた方が良い気がする。

もうひとつ僕は、オススメでないフィードを削除する機能とかがこれからのフィード・リーダーには必要なんじゃないかと考えている。すごく昔にFeedDemonが自動購読停止を搭載したりしてたけど、こういうのがもっと色々あってどんどん購読停止してどんどん購読するようになると購読リストのイキの良さが確保できると思う。

具体的にはサマリーだけ表示するようなビューを使っている場合に、全文表示に切り替えたりリンクをクリックしないようなフィードはどんどん購読を停止したりとか。単純なメジャー度とか更新頻度などいった尺度でもある程度は機能すると思うけど、こういう風にユーザーの行動に基づいて行われるとより良さそう。

もうなくなっちゃったけどRSSを24までしか購読できないフィード・リーダーとかもいくつかあったし、購読数を抑えて回転を良くするみたいな考え方は悪くない気がする。今はもうあんまり見ないけどPlanetなんとかみたいなのはそういうものだったのではないかと今になって思った。


長々と文句と意見を書いてきたけど、単にRSSを読むという機能においてはDigg ReaderやAOL Readerに足りないところはあまりない。そういった形のGoogle Readerのリプレースであることだけを望んでいる人が相当数いて、それを反映してのものなのかもしれない。

僕はGoogle Readerというある意味フィード・リーダーの進化を妨げていた存在が消えることにより、もっとトリッキーなフィード・リーダーが生まれてくることに期待している口。Google Readerの進化形のようなものはFeedlyのような既に多くのユーザーを抱えていて、そうならざるをえないものが実現してくれればそれで良いかなと思っていた。なので新規組の両者がこういう無難で堅実なものを出してきたのにはすごくがっかりしてしまった。