ユーザー視点でのツール(やソフトウェア、サービス)の比較はどうしても自分がメインに使っているものに偏った視点になるので、出来うる限りしない方が良いと考えている。特にブログのような場所では簡単で特徴的なケースで比較を行われやすいので、不公平であったり比較になっていないようなことが多い。そういった簡単で特徴的なケースなら、そのケースでメリットを大きく受けられるツールの話として書くのが良いと思う。

「○○には××が向いている」という言葉は、比較においては比較対象であるもう一方が向いていないという風に捉えられやすい。実際にそういうこともあるけど、多くの場合は××の方がより向いているというだけで他方が向いていないというわけではない。そういったことを文章できちんと表現しようとするとすごく大変だし、ブログのような流し読みされるメディアでは書いたとしても読んでもらえず伝わらない。

また比較をするということは差をつけるということであり、褒めてるだけじゃ差がつかないためネガティブな点が強調されやすい。つまり減点方式に近い形の評価になりやすく、そういう点でも否定しているような感じを出さずに書くのは難しい。

比較するときの具体的なケースの選択もまた難しい。差がつきすぎるケースも良くないし、かと言って差がつかないようなケースでは比較する意味がなくなる。調度良さそうなケースを頑張って探して見つかったとしても、今度は作為的な印象を与えてしまう。

つまり故意にミスリードしたい場合には比較を利用するのが手っ取り早いということにもなる。そのため企業や集客・営利目的のブログならば比較を行う記事は多数書かれる。そのためブログというカテゴリでは比較記事というのはかなりメジャーな記事ジャンルのひとつになっている。その影響で個人のブログでもツール類がカジュアルに比較されカジュアルに貶められる。あえてやっているならともかく、無自覚なことが多い。あんまり良いことだとは思えない。

ブログのようなメディアでは全般的に公平に比較するなどというのは土台無理な話なので、やはり比較せずにポジティブな評価として書いてしまうのが良い。どういうケースで良いツールなのかというのも自由に書けるし、読者にも無理なくそのツールの良さを伝えられるんじゃないかと思う。