ギャラリーの展示室へ向かう階段の上に、石に彫られた仏像を撮った作品を使った展示会の大判ポスターが下がっている

ここ数年の間に読んだ本で土門拳に触れたものがいくつかあった。記念館に行ってみたいと思うも、なかなか機会がないままだった。そんな折、近場で写真集「古寺巡礼」の写真展があることを知り、ゴールデン・ウィーク明けに行ってきた。場所は日本工芸大学の写大ギャラリーで、中野にある。

写真集の値段を考えると、無料で見れて太っ腹だ。ここでは毎年のように土門拳の写真展をやっているようなので、定期的に見に行きたい。建物はいわゆる大学、というもののため、そのあたりに見どころはない。

展示室は2部屋構成で、50枚弱が展示されていた。他に人もいなかったので、ゆっくり眺めていた。写真ということもあってか、寄って見られて楽しい。照明の関係で、自分の影がかかってしまうあたりが少し残念だった。また、掛ける位置が10cmくらい低いような気もしたが、影のことも考えると、寄らずに見ることが想定されていたのかもしれない。

作品の中では、仏像そのものよりは、衣文や蓮華座などを接写した写真が印象的だった。てっきり仏像だけだと思っていたが、庭や外観、鳥居など、様々なものがあることを知り、写真集が見たくなった。そういう類の物の中では、落ち葉が一枚だけ上に乗った西芳寺の四半石と、金堂や木々に雪がかかった室生寺の階段が気に入った。瞬間を切り取るだけが写真ではないことがよく感じられる。


展示室へ行く階段の踊り場には、写大ギャラリーによる一眼レフ・カメラのコレクションが飾られていた。ニコンF5の大きさが際立つ。父親が使っていたものがいくつかあり、懐かしく思う。50台くらい並んでいたこともあり、じっくり眺めてしまった。カメラにはあまり興味はないものの、物体や製品としてはかっこいいと感じているのかもしれない。