オンライン・ブックマークは興味を持っていたことの記録といえる。そして自分自身がその記録を閲覧することにおいてはだいたい良くできている。しかしそのソーシャル性や様々なUIパーツなどにより、他人に順を追って見せることには向いていないものでもある。見ている途中で他に気になることが出てきやすいし、またそういう風に横断的にアクセスされるよう作られているからだ。これは方向性が違うというだけの話なので、興味の変遷をざっと眺められるような形で提供するには別の形で表示する必要がある。
サービス側で興味の変遷を眺められるようなページも提供して欲しいとは思うが、サービス側に利がないので実装されないことが多い。そしてそういう実装がないことが後発でもそのようなページが実装されないことに繋がる。ReadabilityのRecommendsは近い気はするが、これくらいしか見ない(そして使いにくかったので使っていない)。
大体にして多くのサービスは今に重きをおくので、過去についてまじめに考えているものは少ない。ページャーの話を持ち出すまでもなく、過去ログの閲覧や検索に難があるサービスが多かったり、タグがあればいいだろう的な感じで作られていたりする。そこそこ良く出来ているサービスはいくつもあるけれども、それも上述のようにそのユーザー自身にとってだけで、他人にはノイズが多すぎることが多いだろう。
ページングで辿る場合は項目ごとに様々なノイズがあることが邪魔をする。例えばブックマーク数であるとかだ。他人のブックマークを順に見ている時は、その人が人気のページをブックマークしているかどうかなどはまったく必要のない情報だ。その人を選んだ時点でキュレーション的なことが完了しているので、そういったキュレーション的に使える要素は無駄といえるだろう。
検索は他人のブックマークをきちんと検索できるキーワードが思いつくかという点で問題がある。その上、そもそも特定のブックマークを探したいわけではないはずなので、他人のブックマークを見る上ではこれも役に立たない。
タグはその人にはその人自身が付けたものなのでなんとなくわかるだろうが、他人にはまったく理解できないものだ。例えばまだ読んでないURLをブックマークする時のタグが「あとで読む」なのか「toread」なのか、はたまた「pocket」なのか、果ては「!」なのか、他人がわかるわけがない。ワールドカップといった一般的な事柄についてですら「worldcup」なのか「W杯」なのか、人によって分かれてしまうだろう。情報を整理する仕組みとしては十分に機能するが、それも記憶という補助があっての話で、他人にもわかりやすいように整理できるようなものではない。
他人のブックマークの閲覧は、もちろん有益な情報を求めるためでもあるが、それだけではなくその人の興味の変遷を知れることにある。フィード・リーダーはそういった点では良い閲覧手段だが、過去を辿るのに向くものではないことが多い。Hacker NewsやDesigner Newsのような形でバンバン流せるようになっていれば良いのかなと思う。これらは投稿者が不特定多数なのでトレンドを追うのに便利なものになっているが、投稿者が特定少数ならばその人(達)の興味の変遷を映し出すものになるはずだ。Sacha GreifのやっているSidebarが僕の見ている理想に近いかもしれない。
Picksは僕が興味をもってストックしたものを単純なアイコンをヒントに眺められるように作ったつもりだ。が、タイトルの文字が入ってこなさすぎてダメそう。一時流行ったライフストリームみたいな画像を散りばめた没入感のある形にはしたくないので、これが限界なような気もする。トップはこれで〆て、過去ログの表示を月ごとにブロックにしてタイルさせるとか、もっと工夫した方が良いのかもしれない。