レスポンシブ・ウェブ・デザインというのを見る人の反応や感じ方(レスポンス)を公平にすることだと考えるようにしている。同じにするのではなく、公平にする。画像の最適化を例にするまでもなく現状の実装では無理があることも多いので、それを目指してベースラインをしっかりと引きたい。

例えばResponsive scrollable tablesみたいなのはレスポンシブではないと考える。文書を読み進める方向と直交するスクロールで眺められる状態と、何もせずに一覧出来る状態とではコンテンツ(ここでは表)の置かれている状況が大きく異なる。自然と見る人の読み方も変わり、その反応は大きく違ってくる。レスポンシブと言える表はtd要素の表示の仕方を根本的に変えてしまう手法を使ったものなどで、収まるようにスクロールさせるだけではレスポンシブとは言えない。

両者の違いは、何をどう表示したいかをちゃんと意識しているかということ。画像と違って表はただ表示したいのではなく、表の各セルの値を読ませたいわけなのだから、すっと読めるように表示する必要がある。このあたりへの意識がベースラインが引けているかどうかの境界のひとつだと思う。

そのタイプや文脈によって適切に要素を分類することがベースラインを引くということで、それを元に適切にスタイルをあてることまでを含めたのがレスポンシブ・ウェブ・デザインなのではないか。


デバイスやユーザー・エージェントに対してキビキビと反応良くレイアウトが変わるとかそういうのはもう良いかな、というのももちろんある。

ウェブ・デザイナー達は巧みなレイアウト変化が「良いウェブサイト」と評価してしまいがち。しかしユーザーはそのレイアウト変化を知ることはまずないのだから、それは本質的な部分ではない。そういった巧みなテクニックがコンテンツへの反応を公平にするための手法のひとつにすぎないことを意識しないと、ユーザーの反応がちぐはぐなウェブサイトになってしまう。気をつけたい。

実際にはベースラインを引くことと、CSSを駆使したスタイリングの間にもうちょっと色々ある。プログレなんとかとは何なのかみたいな話は、まさにそこの話。