外国語の読み方はしゃべる人の立場としゃべる相手の想定によって変わってくる。大雑把に有識者やエバンジェリストなどと呼ばれる立場の人達は、なるべく誤解を広めないようにすることを重視して、正確に引き写した音で読んだ方が良い。一方、知識の拡散と質の向上を狙うわけではない人達は、同じような専門家に向けてしゃべるわけではないことも考え、まずは通じることを重要視して雑に読んでも良いはずだ。

少なからず両方を担うことがある人達の発音がブレるのは仕方がない。僕もよくブレているし、人を見て恐る々々読み方を変えていたりする。重要視すべきものが立場と相手で変わってきてしまうからということが表の理由だ。広める側としてちゃんとしたいという見栄と、専門家ではない人達へネイティブに近い発音でしゃべった時に通じなかった場合のあの微妙な空気と間、このあたりが裏の理由だろうか。

場合によって読み分けると書こうとすると、この記事のようなふわっとした、ある種本質的ではない話になってしまう。そのためウェブではどうしてもとがった意見の記事ばかりになる。とにかく正確にしろという理想または通じれば良いという現実のどちらかに振り切った記事しか読んだ記憶がない。


もののついでに僕がCSSプロパティーをどう読んでいるかを表にした。

widthは紆余曲折の結果「ウィドス」に落ち着き、もうそれ以外で読めなくなっている。「ウィズ」くらいの感覚で読んでると「え? 何?」とか「あっフフッ」みたいな反応をされることが多かった。「ウィドゥス」になるとちょっと凝った感じに聞こえるらしく、失笑される機会が極端に増えつらかった。「ウィドス」はだいたい通じるので便利だ。そろそろ「ヘイト」派に流されそうだ。

しかし世界も徐々に変わってきていて、耳慣れない読み方でも互いに察してくれるようになってきた。これは日本人特有の事なかれ主義の発現ではなくて、ネイティブっぽい発音を小馬鹿にするような因習が消え始めたのだろう。